細かいことを考える前に、上京すべきだ。

 

そんな私は大学入学を機に、東京で一人暮らしを始めた。

 

田舎の生活に退屈していた私は、上京当初、期待に胸を膨らませていた。しばらくすると、東京に慣れていき、当初のようなきらびやかなイメージは薄れていた。

 

東京も、慣れてしまえば普通だなと。「こんなもんだな」と。

 

東京に対する憧れや不安は、東京を知らないだけで、知ってしまったら何てこと無かった。自分の中で作られた勝手なイメージが先行していただけだった。

 

 

この「こんなものか」と感じる経験は私にとって大きな意味を持った。

 

私はもともと地元が好きではなかった。実家は田畑に囲まれ、駅前には交番しか無い。何をするにも車が必要な環境は、不便でつまらなかった。

 

今では、実家に帰りたいなと思うときもある。今でも相変わらず何も無いが、何も無いということに、心地よさを見つけることもできた。

 

たまにしか帰らない私を温かく迎えてくれる家族がいるという価値も、地元を離れなければわからなかった。

 

 

私が感じていたような東京に対する憧れは、つまり、地方の若者が感じている、東京に対するコンプレックスは、経験してないことが原因だ。とっとと、経験してしまえば問題ないのだ。

 

ずっと地元で暮らしていると、物理的な距離以上に、精神的にはるか遠くに感じるようになってしまう。こうなると、なかなか動き始めることが難しくなってしまう。

 

もし、東京に対する気持ちがあるならば、細かいことを考える前に、東京に一度は住んでみるべきなのだ。